衛星インターネットをポジモで活用してみた(後編)

みなさま、ご無沙汰しております。

外部電源不要の無線LAN「ポジモ」の広報担当をしている橋です。

今回は「ポジモ」と「Starlink」を組み合わせた検証を行った時のお話の「後編」です。「前編」のお話をまだお読みでない場合は、是非、そちらと合わせてお読みください。

衛星インターネットをポジモで活用してみた(前編)
https://www.poggimo.info/blog/2023/07/657/

Starlinkの入手

5GHz問題

Starlinkを屋外で動かす為のポータブル電源の目途が立ちましたので、Starlinkのレンタルを申し込みます。しかし、ここまで来て、StarlinkのWi-Fiは屋外で使用できないという情報が新たに入りました。

KDDI:通信可能範囲を教えてください。【Starlink Business】
https://bizcs.kddi.com/s/article/000011553

KDDIのサイトにStarlink付属のWi-Fiルータは屋外利用ができないと記載されています。もう少し詳しく調べてみると、Wi-Fiの「5GHz」が問題となっているようです。

Starlinkアカデミー:スターリンクの屋外使用は違法になっちゃうの?5GHz問題と現在の対処法
https://starlink.academy/is-outdoor-use-of-starlink-illegal-current-solution-for-the-5ghz-issue/

今回は、「ポジモとの組み合わせ」を検証することが目的なので、Starlink付属のWi-Fiルータは「電波を出さない設定(バイパスモード)」にしていただき、Starlinkのイーサネットアダプタも併せてレンタルすることにしました。

Starlink(バイパスモード)+イーサネットアダプタ

やれやれ・・・・と思っていたら、また新しい情報を発見しました。Starlinkをバイパスモードにすると、イーサネットアダプタに接続した機器1台にしか、IPv4アドレスが割り当てられないという情報です。

IIJ:Starlink(スターリンク)で自宅サーバ、IPv6ならできます!
https://eng-blog.iij.ad.jp/archives/18855

つまり、Starlinkにポジモを接続して、ポジモのアクセスポイントに接続した端末「1台」にしかIPv4アドレスが割り当てられないということです。これは不便ですね。というか、これでは、Free Wi-Fiとしては使用できません。

そこで、小型のNATルータ(ホテルルータという呼び方もあるようです)を、Starlinkとポジモの間に挟むことにしました。小型NATルータのWAN側をDHCPクライアントに設定してStarlinkからIPv4アドレスをもらい、NATルータのLAN側にはNATルータのDHCPサーバでIPv4アドレスを配布するという構成です。NATルータは、GL.iNet製「GL-AR300M16-Ext」を使用しました。

「ポジモ」と「Starlink」の検証

機器構成

機材が揃いました。機器構成は下記のとおりです(インターネットに近い方から順に)。

  • Starlinkアンテナ(G2タイプ)
  • Starlinkイーサネットアダプタ
  • NATルータ – ポータブル電源
  • ポジモ
  • Starlink Wi-Fiルータ(バイパスモード)- ポータブル電源

今回の接続検証機材(1)

今回の接続検証機材(1)

今回の接続検証機材(2)

今回の接続検証機材(2)

通信

ポジモに3台のWi-Fi端末を接続して、それぞれ、下り「約2Mbps」の通信速度が確認されました。

消費電力

  • 最大値:約86W(アンテナの内蔵ヒータON)
  • 最小値:約36W(アイドル時、アンテナの内蔵ヒータOFF)

接続手順

  1. Starlinkは専用ケーブル(電源を除く)、ポジモ、NATルータはLANケーブルを接続する
  2. Starlinkの電源ケーブルをポータブル電源に接続する
  3. NATルータの電源ケーブル(USBケーブル)をポータブル電源に接続する
  4. ポジモの電源をONにする

接続手順についてはこれだけです!接続後、約15分くらいで利用(通信)可能となります!

「ポジモ」と「Starlink」の期待されるユースケース

海外を含むへき地・島しょ部等の情報通信基盤

海外では特に電力供給が安定しない為、通信の接続が安定しない事例があります。また、山奥に固定回線を敷設するのは経済的な難しさもあります。国内の島しょ部でも同様の問題を抱えています。そういった地域の通信基盤として「ポジモとStarlinkの組み合わせ」が役に立つことが期待できます。

災害時の情報通信基盤

2018年の胆振東部地震では、厚真町の避難所用のFree Wi-Fi設備としてポジモ(SIMモデル)が活躍しました。この時は大規模停電ということもあり、LTEの基地局は停止から復帰後にも小刻みに停止していたことが後の調べで分かりました。

停電を伴う大規模災害時には、衛星インターネットは有用な選択肢のように思われます。そして、その衛星インターネットをポジモで幅広いエリアに拡張することができます。「救助活動」、「避難所生活」に、通信は欠かすことができないので、「ポジモとStarlinkの組み合わせ」は確実に役に立つと考えられます。

イベントでのFree Wi-Fi

夏の音楽フェスティバルなどは、普段は何もない広い場所に、その限られた期間だけ機能する街ができるような感じです。「チケットのCheck-in」はスマホ、「荷物の受取・発送」は事業者の通信端末、出演アーティストの「SNS投稿」や「タイムテーブルの確認」もスマホを使います。最近はスマホの「電子決済」も非常に多く使われています。

この時、臨時の光回線を敷設するという方法もありますが、規格に合った建柱が必要であるなど、そのコストは大きく跳ね上がります。これを、「ポジモとStarlinkの組み合わせ」で解決したら、コストは「二桁ぐらい」小さくなるかもしれません。

イベント会場のWi-Fiが普及して、お客様もスタッフも業者さんも、より便利で快適なイベント(という街)を楽しむことができるでしょう。

今回は、Starlinkの「使用手順」、「接続方法」、「制限」などの確認が中心でしたが、これからは、もっと多くの人に、もっと多くの場所に、通信を届けられるように実際にポジモとStarlinkを使用している様子をご紹介していきたいです。

2023年9月からはソフトバンクの「Starlink Bussiness」が開始されるとの報道がありました。「ポジモ」と「Starlink」活用がさらに拡がることが期待できます。今後に是非、ご注目ください。

ソフトバンク:国内の企業や自治体向けの衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」を9月下旬に提供開始https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2023/20230713_03/

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